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ペースメーカー治療について


正常な心臓は1分間に約60-70回、収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出します。しかし洞不全症候群や房室ブロックなど徐脈性不整脈の場合は、心拍数が減少してめまいやふらつき、心不全などの症状が現れます。ペースメーカーは電気刺激を心筋に送ることにより心拍数を増やしてそれらの症状を緩和します。リードという電線を血管内を通して心臓内部に留置し、ペースメーカー本体に接続して電気信号を心臓に伝えます。

ペースメーカーの大きさ


様々なものがありますが、一般的には縦横がそれぞれ約45-50mm、厚さが約7-8mm、重さが約20gです。



 

手術の流れ


ペースメーカーは通常、鎖骨の下に植え込みます。静脈麻酔や局所麻酔を組み合わせ、できるだけ恐怖心や痛みのない手術を心がけております。手順としては、麻酔、鎖骨下切開、ペースメーカー本体が入る場所(ポケット)を作成、血管を穿刺してリードを挿入・留置、本体とリードを接続、縫合の順です。リードの本数(1本か2本)、不整脈や心不全の有無、血管の太さや心臓内部の構造の個人差により、麻酔開始から手術終了までの時間は30-60分程度とばらつきがあり、さらに長時間を要することもあります。

手術翌日を1日目とすると4日目から5日目には退院できますが、体調によって入院期間は前後します。

手術の合併症


出血、内出血などをきたすことがあります。また稀ながら、感染症、気胸(肺に小さな穴が開き、一時的に肺がしぼんでしまうこと)、術後のリードのずれ、リードによる心臓穿孔などがあります。

 

術後の注意点


ペースメーカーは電気、磁気、電磁波の影響を受ける可能性があります。ペースメーカー本体に磁石を近づけないで下さい。携帯電話やスマートフォン、家庭電話の子機は原則としてペースメーカーから15cm以上離して使用する必要があります。IH式の電磁調理器は近づきすぎると誤作動をきたすことがあります。電子レンジは問題無く使用できます。自動車の運転は可能ですが、自動車のリモコンキーはペースメーカーに近づけすぎるとペースメーカーが誤作動を起こす可能性があります。電気自動車の急速充電器は使用できません。

ペースメーカー植込み術後、レントゲンやCT、エコー検査は受けることができます。マンモグラフィは受けられません。最近のペースメーカーはMRI対応品が多く、施行できる施設は限られますがMRIも可能です。昔のペースメーカーの場合、本体を新しいものに交換してもリードがMRIに対応していなければMRIは撮れません。

術後数年で電池が消耗するため本体交換手術が必要になります。当院では原則的に半年毎に受診して頂きペースメーカーの作動や電池残量の確認を行い、本体交換手術が必要な時期になればお知らせしています。

その他


電話回線を利用した遠隔診断システムが利用できる機種が増えてきました。緊急時に対応するものではなく、対面診察も併用しなければいけませんが、ご希望の方には対応いたします。

過去に他の病院でペースメーカー植込み術を施行された方でも当院に通院していただけます。電池が消耗してきましたら当院で本体交換手術が可能です。



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