- 痛みを感じる場所
胸の中央、左胸部、左肩、首、下あご、みぞおちなど。
胸痛が肩から腕などへ広がる(放散)こともあります。 - 痛みの性質
胸が締めつけられるような、抑えつけられるような、重苦しいといった漠然とした痛みです。
胸やけ、肩凝り、歯痛などが主な症状のこともあります。 - 痛みの続く時間
狭心症は数分から10分くらいです。
通常30分以上痛みが持続する場合は心筋梗塞となります。
狭心症、心筋梗塞は、いずれも心臓に栄養・酸素を送る、心臓の表面が走っている冠動脈という血管に動脈硬化が原因で狭窄(狭心症)・閉塞(心筋梗塞)が起こる病気です。
狭心症の治療は薬物療法が基本となります。しかし、薬を使っても日常の生活で狭心症による痛みが簡単に起こる場合には、冠動脈造影検査を受け、手術(冠動脈バイパス術)や“風船療法”が必要かどうか検討して頂くことになります。
心臓カテーテル検査は、従来2泊3日程度の入院を必要としていましたが、当院では、原則的に日帰りでカテーテル検査を行います。
検査当日の朝に来院して頂き、その日のうちにご帰宅頂けるこのシステムは、患者様の負担や入院費用の軽減、また仕事や日常生活への支障を最小限にすることができます。
狭心症の薬には「血管拡張薬」と「β遮断薬」および「抗血小板薬」があります。血管拡張薬は、冠動脈を拡げて血流をよくする働きと、全身の血管も同時に拡げて心臓の負担を軽くする働きがあり、これには硝酸薬とカルシウム拮抗薬があります。
β遮断薬は、興奮する神経である交感神経の活動を抑え、血圧を低くし、脈拍数も少なくして、心臓の負担を軽減する薬です。
どちらも血圧を下げますから、高血圧の治療薬としてもよく使われます。
狭心症には、血管拡張薬やβ遮断薬の中から2、3種類を併せて処方します。また冠動脈の動脈硬化を抑え、心筋梗塞症を予防するため、アスピリンを少量使用します。アスピリンは血小板の活動を抑えますから、血栓ができにくくなります。
同様の働きを持つ薬としてプラビックス、エフィエントも使用します。これらを併せて抗血小板薬と呼びます。
医療用の細い管をカテーテルといいます。そのカテーテルの先端に風船の付いたバルーンカテーテルと呼ばれる医療機器を使って、心臓の周りを取り囲んでいる冠動脈を治療し、狭心症や心筋梗塞の苦痛から患者様を救うことのできる治療方法です。
風船で十分に広がらない場合は、特殊な合金による金属を網の目状にした筒(ステント)を血管の内部に入れ、内側から補強する方法があります。
患者様の身体的な負担が軽く、長期入院が必要な外科手術とは違い、このカテーテルを使った治療法ならば1泊2日で退院することができます。
治療リスクの軽減、コストの削減など、患者様の負担を肉体的にも精神的にも軽減する治療法として、広く受け入れられています。